インタビュー
麻酔科/ Anesthesiology
知識・決断力・冷静さ。
常に緊迫した状況に
直面してきたからこそ
培えた強みがある。

Seiko
Furuhashi
札幌医科大学卒
2016年入職【初期臨床研修(2016-2017)】
麻酔科/麻酔科医

麻酔計画を考えるために他科と協議・相談することが多い麻酔科。
研修医時代のローテートで学んだ知識や、当時から培ってきた人脈がスムーズな連携の秘訣と語る。※インタビューは2022年1月時点のものです

濃い研修期間を
共に乗り越えた仲間

研修先を検討する際にまず重視したのは、自分がその期間にどんな経験を積みたいか?という点です。同じ2年間という期間でも、病院によって学びの傾向は大きく異なるからです。勉強会や講演会、討論といったアカデミックな色が強いところもあれば、当院のように実践重視のところもあります。私は「若手のうちからとにかく数を経験したい」と考えていましたので、当院の救急受け入れ患者数の多さはやはり魅力的でした。救急科専属の医師がいることも選択を後押ししたポイントでしたね。より実践的なノウハウを学べそうだと思いました。実際、過ごした時間は想像以上に濃いものでしたが、乗り越えられたのは上級医の先生方と同期の存在のおかげ。学生から“先生”に切り替わる大変な時期を共に乗り越えた同期に対しては、勝手に戦友のような感情も抱いています。

濃い研修期間を共に乗り越えた仲間

医師として
最初の関門に
立ち向かう

私の1つ目のローテート先は救急科。そこでの問診が最初の関門でした。危険なのは『軽症だと思っていた方が実は重症だった』という場合。例えば、急性心筋梗塞を患っていても、「何となく違和感を感じるだけ」と自力で歩いて受診される方がいます。むやみに動けば状態が悪化してしまうかもしれません。呼吸苦の有無、痛む場所や性状、増悪因子の確認など、問診での対応がその後を左右するのです。「なるほど。患者さんがそう答えたならこの鑑別疾患が想定できるね。次はどんな質問で絞り込もうか」といった上級医の指導を、ただただ必死に、スポンジのように吸収していったことを覚えています。そうして次第に本当の症状を探り当てるノウハウが身についていきました。常に忙しい救急科でしたが、その都度質問しフィードバックがもらえる環境はとても有り難かったですね。

医師として最初の関門に立ち向かう

広く・深く
経験を積める
環境で学ぶ

緊迫した状況下に直面する経験を研修医時代に重ね、『どんな事態でも判断力を失わない』心構えを培いました。それは今、麻酔科医として向き合う現場の数々で大いに役立っています。術中の急な出血時、輸液量や昇圧剤を使用するタイミングの判断は麻酔科医に委ねられます。術者がバイタルを気にせず処置に集中できるよう、バイタル維持に関して冷静に判断する場面はまさに当時の経験が生きる瞬間ですね。術後、無事に覚醒いただくことはもちろん、そこに痛みや不快感が残るか否かは麻酔科医の技量に直結します。患者さま一人ひとりの容態を読み取り、麻酔計画を立て、処置を施す。その絶妙な麻酔の加減を、膨大な症例数の分だけ学べるのですから、麻酔科医冥利に尽きると言っても過言ではありません。

広く・深く経験を積める環境で学ぶ
古橋 聖子