インタビュー
整形外科・手外科/ Orthopedics
キャリアを積み重ね
尚、学びに貪欲な
医師の姿が
研修医の道標になる。

Hideyuki
Oota
藤田医科大学卒
2003年入職【初期臨床研修(2003-2004)】
整形外科・手外科/手外科部長
手外科・マイクロサージャリーセンター/センター長

研修医時代、症例ごとに戦略・戦術を考える手外科に面白みを感じ、整形外科の道を志す。
以降、手外科を専門にキャリアを積み、現在は整形外科の部長を務める。※インタビューは2022年1月時点のものです

膨大な症例数から
得られる経験値

当院は三次救急施設ですが、一次・二次救急も受け入れていますので圧倒的な数を診ることになります。整形外科だけでも、ここ数年の手術数は年間2,200件ほど。この膨大な症例数に対し、研修医の先生に手技を任せています。大学病院や他の高次医療機関でも重症患者は診れますが、いきなり重症例の手技に携わることは難しいはず。かといって一次・二次救急施設では症例に限界があります。当院では軽症〜重症と段階的に挑戦できますから、その経験は医師として大きな強みとなるはずです。
また高齢化が進む現在、内科・外科疾患の持病を持つ患者さまが増えています。そういった患者さまへの対応を考える際、当時のローテートの経験が役に立っていますね。各科の現場で目にしたこと、学んだ知識がベースとなり、他科へ相談する時もある程度道筋が立てられるのです。初期臨床研修期間の特権ですから、思う存分知識を吸収してほしいなと思います。

膨大な症例数から得られる経験値

限られた時間を
有意義に
過ごしてもらうため

私の専門は整形外科ですが、当科の知識の中にも外科全般に活用できる情報、内科医でもいざという時に役立つ情報があります。研修医に指導する時は、彼らの進路に沿って指導内容を変えています。外科志望であれば、骨折した際の麻酔のかけ方や添え木の固定方法など。手術中もできる限り手技の実践を勧めますね。さらに整形外科志望の先生には、より踏み込んだ内容を伝えます。内科に進むと整形疾患や外傷に触れるのは基本的に当直時のみ。ですから内科志望の先生には救急外来で使える知識を指導しています。縫合の処置・麻酔の仕方・傷の洗い方…応急処置として間違いないポイントをおさえています。
一人ひとりの研修医にとって、この科で学んだ時間が少しでも印象に残るものにしてあげたいのです。自分が指導した研修医の先生が、2年間を経て専攻医として見違えるように成長した姿を見ると、やはり嬉しくなりますね。

限られた時間を有意義に過ごしてもらうため

医師同士が
高め合える環境

コミュニケーションの多さ・濃さは、医者としての成長に直結していると言っても過言ではありません。私は研修医時代を含めた約20年のキャリアのうち、15年当院に在籍しています。熟練の先生方の考えに触れる機会が多いのは当時から今も変わらず、本当に恵まれているなと感じます。たとえば「回復」というゴールに対し、遠回りな方法の方が良い結果を導いたり、複雑な工程を要する症例が場合によって簡単な処置で解決できる、など。先生方同士の会話を聞くだけでも刺激的な毎日でした。その症例に遭遇しなければ習得し得ないアイデアやノウハウを惜しみなく共有し合っている。それが日常風景なんです。当科に限らず、ちょっとした疑問を通りすがりに他科の先生に質問する、といった風景もよく目にします。互いに協力し合い高め合える環境は、患者さまファーストの考え方が当院の医師に共通してあるからこそ成り立っているものだと思います。

医師同士が高め合える環境
太田 英之